日本のがん医療の何が問題か?細かい問題はいろいろありますが、大きな問題は 「受けたい医療を受けられない」 ということではないかと思います。 普通に考えれば、 「今いる病院がだめでも、自分でよい病院や医師を選んで、そこで治療をしてもらえばいいではないか!」 ということになると思いますが、 1.どの病院が、どんな医療を行っているのか、わからない。 2.自分の病気について、医療従事者とゆっくり話すことができない。 という現実のために、自分で積極的に治療法を選択することが困難です。 1.どの病院が、どんな医療を行っているのか、わからない について ホームページを作って公開している病院はたくさんありますから、どんな機器がそこにあって、何人のスタッフがいて、ベッド数がいくつで・・・診療科目、診療時間、院長の挨拶、病院の基本理念、院内の地図、交通アクセスにいたるまで、知ることはできます。 しかし、たとえば抗がん剤治療に関しては、専門の先生が診ているかとか、どんな治療方針か、とか、どんな薬を取り揃えているのか・・・とか、知ることは困難です。まして、実際に診てくれるかどうかなんて、行ってみるまではわかりません。 ポイント→→→ スタッフの配置情報(専任の医師・看護師の数) 現在の患者数(たとえば前月1ヶ月間の外来患者数の1日の平均など)、 そろえている薬剤 基本的な治療法(投与方法や評価の仕方) といった具体的な治療内容を迅速に公開するようにしなければ、患者自身が病院にアプローチできない。また、 各病期(ステージ)ごとの治療実績(それぞれについての患者数、および生存期間中央値) というような客観的なデータも公開してもらわなければ、患者自身が責任を持って病院を選択することができない。 2.自分の病気について、医療従事者とゆっくり話すことができない について 自分の主治医とじっくり話しをしたいと思っていても、忙殺されていて、なかなか話すことができません。それならせめて、今の自分の病状の説明を、ほかのスタッフ(看護師など)でもいいから聞きたいと思っても、そういう説明を医師以外が行うことがいけないのか、 「じゃあ、先生に伝えておきますね」 という返事しかもらえません。 ポイント→→→ 専門医をもっと多く配置する、 あるいは病状の説明をできる(そういった権限を持つ)専門看護師を配置する といった対応を取って、患者が自分の病状を十分に理解できるようにしなければ、自分で責任を持って治療法を選択することができない。 そもそも、なぜ、今いる病院では、満足のいく治療が受けられないのでしょうか?それ自体が、大きな問題です。 「こういった抗がん剤を使って、こういうやり方の治療を受けたい」 と言っても、 「それは、うちではやっていない」 といわれてしまうことが多いのです。 なぜ、そんなことが起こるのか・・・? 原因は、 ・抗がん剤に精通した医師がいない。 ・抗がん剤を専門にやっている医師がいない ・その薬は高いので、病院としてはあまり置きたくない。 ・その薬がそのがんに使うことを許されていない。 ・その薬自体、日本では、まだ使うことを許されていない。 ということではないでしょうか。 こういった、原因となっている問題点を解決しない限り、「がん難民」は、生まれ続けます。 |